夕焼けの街の向こうに浮かぶ富士

横浜から見える夕暮れの富士山

近所にある小高い丘から見た西の空。時刻は午後4時半、日没直後。

この季節になると快晴の日には、夕焼けをさえぎる富士山がシルエットになって浮かび上がる。赤みを帯びた標高3776㍍の富士山とその手前には暗くて青みをおびた1000メートル級の山々が並ぶ丹沢山、さらに手前は闇夜が近づく夕暮れの街

条件が整って3段に色分けされる世界はあたかも前衛の丹沢山塊の山々を従えた大魔王が迫ってくるようにも見える。霊峰富士の面目躍如か。

毎年秋から冬になるとよく見られる光景のはずだが、休日ならともかくとして気も忙しくなる夕刻に落ち着いて西の空を眺めるなんてそうできるものではない。実をいうとこの私も横浜に住居を構えて40年になるが、夕暮れの西の空をゆっくり眺めて「3段の色分け」が分かったのは最近の話であった。

30代の初めから10年ほど住んだマンションはこの丘の近くで、晴れた日はいつも富士山が見えた。眺めは荘厳だった。富士山を見るたびに故郷から遠く離れた関東にいるという現実をかみしめ、望郷の念に駆られたことも思い出す。

 

追記

地図ソフトで撮影位置(横浜市の某所)から富士山を直線で結んでみた。富士山正面の尖った山は大山(おおやま・標高1252㍍)のようだ。この写真では枝に隠れて見えにくいが大山より高い右側に連なる山は左から丹沢山(たんざわさん・同1567㍍)蛭ヶ岳(ひるがたけ・同1673㍍)大室山(おおむろやま・同1587㍍)と推測。そうなると右端の木の枝と枝の間に見えるのが丹沢最高峰の蛭ヶ岳で、その左で枝に被っているのは丹沢山か。